今日という日にふさわしい(?)一冊を
射精道/今井伸
陰茎を刀に見立て、「イチモツも持つものは武士たれ」と説く一冊。
思春期から性生活、晩年に至るまでイチモツとどうつき合えばよいか、性行為・性生活をどうすれば良いかを解説しています。
性教育がちゃんとできていないと不幸になる人が増えるので、これを読んできちんと知識を身につけていただければ、と。
個人的には射精障害に陥る方が結構おられるんだな、と言うのが印象的。変なオナニーしたり全然してこなかったりすると全然ダメだと。そういうことが全くなかった自分としては衝撃といいますか。遅漏とか射精障害に陥る方はいる、とは聞いているものの、実際に目の当たりにすることは当然ながらないわけで。きっちり問題なく出せている私は恵まれているのかもしれません。
オナニーについて、公衆の面前で致すのはもちろんダメだけど、おおっぴらに話しても恥ずかしくない風潮になればいいですね。とはいえ女性の自慰の話題には花に群がる虫のように男が群がるので、どこかで線引きをしないといけないところもある・・・と言いますか、男の側が節度を持って対応しないといけないでしょうね。
あくまで個人的な感想になりますが、望まない妊娠をさせてしまうようなデタラメが減れば性行為はもっとオープンになってもいいと思うんですよね。そのためにはお互いに知識が要るのでしょう。現在も「あまり性的な知識を教えないで食い物にしてやろう」という人たちも一部にはおられるようですからね・・・
ーおまけー
著者とみうらじゅん氏の対談の一部が公開されています。ご興味のある方はどうぞ。
《性器の硬さにこだわる医学的根拠とは?》みうらじゅんと今井伸医師が語り合う「老いるショックと射精道」
ちょっと対的なところにある2冊。
ジャイロモノレール / 森博嗣
「失われた技術」であるところのジャイロモノレールを実用に耐えるものを作る過程の試行錯誤を楽しんでいる様子を伺う一冊。
技術的なことはよくわからないけど、何か楽しそうだ、というのを感じとるだけでもよいかと。
「hobby」は「趣味」ではなく「個人研究」だと著者は言う。すでにあるものを楽しむという受け身ではなく、自ら色々考え、手を動かし、試行錯誤するのが「hobby」だと言う。楽しいと思うことを追求して、自分だけの発見をしていこう、と。
とはいえHPを見ると森氏は研究大好き没頭マンのようなので、「ここまで徹底的に没頭できれば他の事はあまり気にしなくなるだろうし、集中しているときは楽しいだろうなあ」くらいに思うのがよいのかもしれませんね。
ジャイロモノレールについてまとめた氏のHP。紹介されている動画も有。
ルポ 人は科学が苦手 / 三井誠
トランプ大統領当選後のアメリカで、人びとが科学をどう思っているのかを取材した一冊。
アメリカで取材していることがミソで、未だに進化論に否定的な人が半数を超える、というのはにわかには信じがたいところだけど、日本から見るアメリカ、というのはニューヨークや西海岸、ハワイくらいで中南部の「アメリカの田舎町」の実体は見えてこないところでしょう。
トランプ氏はそのあたりを狙い撃ちにする戦略のようですし、遠くから見ていたらそりゃわからん、というのもさもありなん。
”「空気」の研究”で戦後すぐくらいに山本氏が米兵に「お前ら知らんだろ、人間はサルから進化したんだぜ」と得意げに語るも日本人からしたら当然で首をかしげる、ということがあったとのことだけど、米国では進化論は聖書からしたら「間違っている」ことで進化論を支持してい人は今でも2~3割くらい、「人間は神が作りたもうたのだ!」と信じる人は半数以上だそうな。そこに科学が入っていくことの問題点や落とし所を探っていっています。
「自分の信じられないことは信じない」というのはアイデンティティの保持の面から仕方ないところもあるでしょうし、それを否定せずにうまく新たな考えを受け入れてもらう、というのは難しい課題なのだな、と思う次第です。
よく学ぶ人ほど自分の信じるものの裏付けをしようという方向に学んでいくから、より意固地になるだとか、米国の源流はフロンティアスピリットだから権威に反発する面があるだとか、"神が世界を作りたもうた"世界を紹介する「創造博物館」がケンタッキー州にあるだとか、普段見えない視点が色々あって面白いと感じる一冊でした。
昔の研究は私財を投げ打ったりパトロンがついたりしていればよいけど、それがないと続かないから広く研究成果を知ってもらう必要があったけど、今の科学者は国が研究費を出してくれるからその必要がなくなったのと、研究に没頭したいあまりに説明を怠った故に世間との乖離ができてしまった、と。ふむふむ・・・
空気感
まずは古典から一冊。
「空気」の研究 / 山本七平
日本をとりまく「空気」について研究する一冊。大気汚染とかではなく、場の空気とかそっちのほう。
太平洋戦争や原子力発電の推進、イタイイタイ病などを通して日本人の気質を見ていくもの。
海外との違いからも分析していたりして興味深い。多分に概念的な話しが多いので咀嚼するのにちょっと時間がかかるが、それを差し置いても読み込んでいくと面白いと思われる。
元々の出版が80年ではあるが、新装版が2018年に出ていることからも現代日本にも通じる普遍的な話しということだろう。
直近だと東日本大震災やコロナ禍においても色々な空気が醸成されていたな、と考えながら読み進めた。
キリスト教圏は「絶対神」がいるから相対的に物をみることができるが、日本はあらゆるものに神が宿るという観念から「神的」なものを作り出しやすいのかな、という感じもある。キリスト教圏は異教徒と争いを繰り返しているわけで、どちらがいいとかではなく、どちらも良い点、悪い点があるということね。
空気つながりで。
超空気支配社会 / 辻田真佐憲
「空気」の研究の一節からスタートする一冊。とはいえ同様に「空気」の研究をするわけではなく、「空気」に支配されず独自の立ち位置に立って、その視点から物事を見ていこう、と。
この書自体はネット記事を集めたもので、最新のものと合わせて読みたいのなら下記からどうぞ、と巻末にもあります。
https://bunshun.jp/list/author/58844ecd77656145460c0000
辻田 真佐憲 MASANORI TSUJITA | 現代ビジネス
ジセダイ総研 | ジセダイ―星海社がおくる、行動機会提案サイト
が、テーマと時系列に沿ってまとめられたものは書籍ならではのものなので、体系的に頭に入れるなら書を取るのがよいでしょう。
人間難しいことは考えたくないもので付和雷同するのは実際楽ではあるのだけど、ある方面に詳しければそこを軸に物事を見ることによって「あっ、これはおかしいな」と感じることもできるそうな。あとは、物事が細分化しすぎて専門家が多くなったけど、それをまとめて評論する評論家が専門家に横やりを入れられて少なくなってしまった旨も。専門を深掘りする人とそれをまとめる人、反目し合うのではなく協力することで広がる世界があるのではないか、と思う次第。
同著者の書をもう一冊
辻田真佐憲 / たのしいプロパガンダ
「プロパガンダは楽しくないといけない」と古今東西の戦略にはあるようで、おしつけがましいものより一見プロパガンダとわからないほうが効果が高い、と。
薬だって苦いまま飲むと効く気はするものの人を選ぶし、甘くすれば飲みやすくなり、すっと入っていく。
高度に洗練されたプロパガンダは何気なく見ている内に思考に植え付けられていく・・・サブリミナルと変わらないのかも。
最近読んだ本色々
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